東京都立雪谷高校同窓会・螢友会のホームページ/学校創立1913年(大正2年)4月

11期:岡本 佳治

スペイン語と私 1960(昭和35)年卒

雪谷高校との出会い

当時の先生や仲間で、2クラス合同のメンバー40名程の同窓会「雪青会」と生徒会関係仲間15名程の「うちわの会」、その他有志数人との出会いがあります。
我々も70歳近くになり、大半の仲間は現役退職をし、時間的にも多少ゆとりが生じ、野球部の応援、定期吹奏楽部の演奏会には、何人かで顔を出しております。
私の50年前の雪高時代は、古い木造校舎の中で、冬は石炭ストーブで寒さに耐えての授業、狭い食堂、汚い男子トイレという粗末な環境でした。
又、思い出深い恒例の「駅伝大会」、文化祭での吹奏楽部の演奏会、校庭でのソフトボールの試合、生徒会主催の「フォークダンス」では、日常異性と接する機会も少なく、唯一フォークダンスのオクラホマミキサーで、意中の人と手をつなげるとの期待も、途中で音楽が終わってしまう空しさ、数限りない想い出が今も浮かんで来ます。

私と外国語との出会い

私は、現在JR恵比寿駅前で25年間にわたり「スペイン語」の専門学校経営に携わりながら、自らもスペイン語指導をしております。
外国語との出会いは、中学1年生の英語から始まります。私自身日本人でありながら、日本語、特に文学には全く興味が無く、小学校以来、雪高時代を通じて国語は大の苦手でした。逆にそれが、遠く離れた外国へのあこがれや夢も有り、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語と数々の外国語の習得に至ったのではと思っております。
外国語は、私のように専門職として教える立場の人を除いて、あくまでコミュニケーション手段であり、それ自体は目的ではないように思います。外国語を学ぶ事で、広く世界の人々との関わり合いを持つ事が可能になり、日本文化の素晴らしさも再認識出来ます。
昨今は、特に若者の内向思考が著しく、外国離れを危惧しておりますが、今年の4月から小学校でも英語教育の導入が実施される予定にもなっており、今後後輩の若い皆様にも、広く世界に目を向け、海外での活躍を願っております。

恵比寿スペイン語センター設立

今から20年以上昔、私の大好きな語学を使い、何か元気なうちに、新しい仕事をしたいと日々考えていました。当時、私が勤めていた商社でも英語が主流で、その他の言語は遠い存在でした。
私自身の性格から、周囲と同じ事をしていたのでは価値がないという気持ちで、NHKのスペイン語ラジオ講座を頼りに、独学で通訳資格を取得しました。その後、脱サラをし、スペイン語学校を開きました。恵比寿駅前に部屋を借り、数人を教える事からのスタートでした。
周囲の反対もありましたが、自分が選んだ道でしたので、満足感がありました。
振り返ってみると、20年以上という歳月に渡り事業を継続出来た事は、時代の変化にも助けられたような気がします。
人生は一度、何でも構わないのですが、自分がやりたい事を、勇気を持ってリスクを恐れずに、挑戦する精神が、特に若い皆様には必要ではないでしょうか。

習うより慣れろ! 学習者中心のアプローチ
言語は世界の多様性の扉を開ける

私はスペイン語学上達のベストな方法は何ですかと質問を受けます。その際、 1)あるいは2)の何れに興味があるかを問いただす事にしています。

1)購読(西文和訳)・作文(和文西訳)・文法
2)会話(話す・聴く)

何故ならば1)あるいは2)のどちらを選択、重視するかに依って学習方法は異なるからです。
大多数の生徒は2)と答え会話を希望し、実用的コミュニケーションを望んでいるのも事実です。
従来の日本の語学教育では文法・購読を中心になされ会話は副次的なものとされていました。
1)、2)のバランス学習が必要であると私は考えるのですが、もし実用会話を短期間で身につけたいと考えるならば、文法知識にあまりこだわらず、先ず簡単なあいさつ、数字、曜日、旅行に必要な飲物、食物に関する基本単語、短文を反復練習し、丸暗記をお勧めします。
大切な事は、知識として「知っている事」と実際に「出来る」とはまったく別の作業です。
頭で理解していても口から音を出す事はすぐには出来ません。
スペイン語の能力があるには口から反射的に音を出す「自動化」の必要があるのです。
車の免許を取得しても路上ですぐには運転出来ません。
パソコン、携帯メ-ルなども毎日繰り返し手を動かし自然と身につけるもので、取扱説明書を読みながら操作方法を習得する人はごくまれです。
現代は人間同士のコミュニケーションがますます重要視され積極的に自分の意思を伝えねばなりません。ヨミュニケーションには、言語能力に加えて顔の表情、声の高低、身振り等に依る言語以外の要素も対話には無視できません。
言葉は我々が互いに生活していく上での重要な媒体、手段であり、それ自体が目的ではありません。
我々講師も上から単に知識を植え付け、教えるというよりは、如何にして学習者がスペイン語の魅力、幅広くスペイン・中南米文化に興味を抱いてもらうかを工夫しなければならないのです。
講師はあくまで学習者のサポート役であるからです。
学習者同士が互いに対話をする機会を与える「協同学習」「対話学習」こそ大切で生徒同士が互いに話し合う事への「学習者中心」のアプローチへ視点を移す方法を進めていきたいと考えております。
言葉は世界の多様性の扉を開けてくれます。スペイン語を通じた世界の多様性は私達の生活、心をきっとより豊かにしてくれると私は信じています。皆さん、共に新しい世界を開拓しましょう。

多言語の重要性

日本では英語が世界の共通語としての重要性が叫ばれており、特にビジネスの世界ではその傾向が著しいのは事実であります。
今でも多言語に興味を持っております私自身、昔は異国の友人から「おまえは英語も満足に話せないのに何故多国語に興味を広げるの。」と随分非難されました。
しかしながら、それぞれの国、地域に定住している人々を真に理解し、永年続いている文化遺産を知りたいのであれば、英語以外の言語を積極的に学んで欲しいのです。
もし世界が一つの言語、文化に統一されてしまったら、それぞれの国が持つ遺産、味わいは失われてしまいます。
一種類の花、鳥、魚しか存在しなければどうでしょう。
多様性こそ我々が理解し合い、寛容である為の本質的要素で、複数の言語が存在するから無理解が生じるのではなく、御互いの言語を知り違いを尊重し敬意を払うことが大切なのです。
世界は残念ながら年々言語を減少させ、英語のみに統一させ、それぞれの言語間での交流を貧困化させているように思うのです。
言語は人々の精神であり、息吹です。孤独から救い自分自身を知ることを可能にしてくれます。
言語学習に必要なのは情熱です。
その国を知りたい、そこの人々を理解したいならその国を愛し、一つでも多くの言語にチャレンジしましょう。
又、日本人として、日本語への誇りを持ち、文化、歴史、伝統を大切にしていく事も忘れないようにしましょう。

初心者の為の日常会話上達の秘訣

日本に居住している外国人が、個人差はともかく、短期間で日本語を話す能力を身につけてしまうことに私はいつも感心します。
たしかに彼らも「日本語」という言語を考える時、説む事、書く事の難しさの壁にぶつかり、我々が日常読んでいる新聞、雑誌を自由に読んだり、手紙を書いたりすることに苦労します。
それは通常の日本文の中に漢字が混じっているからにすぎません。
しかしながら、共に生活し、お互いの意志の疎通を図るという極めて初歩的なコミュニケーション上大切なのは、まず話す事ができれば充分です。
彼らの言語の学習は、まずロに出すことからスタートします。
学問的に学ぶのではなく純粋に聴覚メカニズムの問題と捉えるのです。
目を通して顕で考えるのではなく、耳で聴きロで声を出します。
言語を生理的に音響的に学ぼうとします。
日本人が何年たっても話す事が苦手なのは言語を頭脳的に学び、生理的に学ぼうとしていないからです。
知的に学んだ文章は短期間で忘れてしまいます。
子供の時に覚えたメロディ一、歌詞はいつまでも、大人になっても忘れません。
それは、子供は大人よりも生理的、機械的に音で受け入れる順応性を持ち合わせているからなのです。
大抵の方は大人になってから外国語を習うので、 頭で考える習慣が身についてしまっており、文法から始めざるを得ません。
確かに読解力、作文も話したり、聴いたりする事と同様に大切です。
でも、もし簡単な日常会話を身につける事を当面の目標と考えるならば基礎文法をある程度理解し、あとは文字を出来るだけ見ないで音に頼って口頭練習を大きを声で何回も続けて欲しいのです。
我々は、子供の時から語学の学習には必ずテキストを用いる習償が身についてしまっています。
そのためか、文字なしには落ち着かず不安を覚えてしまうようです。
ですから多くの学生が文法をマスターし、読む事が出来ても、簡単な数字さえすぐには言えないのです。
毎日、数分でもかまいませんので、音を聴き、大声で、童心にかえったつもりで、その音の真似をし、操り返しましょう。
きっとスペイン語が持つ独特な響きに魅せられ、学習効果は増大するはずです。

PAGETOP
Copyright © 東京都立雪谷高校同窓会・螢友会 All Rights Reserved.